白球と最後の夏~クローバーの約束~
「見ろよ、花森。あのバッター、初球からストレート狙いだぜ?」
「・・・・えっ?」
岡田君にそう言われて、わたしは相手バッターの様子に目を見張った。
そして、大きく振りかぶった大森君に目を移す。
「稜と大森、向こうの策略にハマってんじゃねぇの?」
うそ・・・・。
わたしの眉間に一気にしわが寄りはじめる。
でも、不安になっても、わたしはただここで見守るしかない。
もどかしいな・・・・。
「大丈夫だって。狙っててもバットにゃ当たらねぇはずだ。構えが不十分だ」
岡田君はそう言うけど・・・・。
わたしは、1つストライクが入るまで気が気じゃないんだ。
生唾をゴクリと飲み込むこの何とも言えない不快感・・・・何度味わっても慣れることはない。
そのとき・・・・ブンッ!
バットが風を切る音、ここまで聞こえるんじゃないかってくらい、バッター豪快に空振りした。
「な? 俺、これでも見る目は確かなんだぜ?」
ホッと胸を撫で下ろすわたしに、岡田君が自慢気に鼻を鳴らす。