白球と最後の夏~クローバーの約束~
試合のほうでは、ギリッ!とバットを握ってバッティング体勢に入った稜ちゃんの姿。
そうだよね。
稜ちゃんだって、そのことは十分すぎるほど分かっているはず。
わたしよりずっと。
相手ピッチャーが、ボールポジションを胸の前から頭の後ろへ・・・・振りかぶって第1球を投げた!
パシッ!
さすがだと言わしめるほどの、狙いすましたストレート。
稜ちゃんは初球を見逃した。
手が出せないっていうわけじゃないと思うんだ。
だって、稜ちゃんの選球眼はチームで一番だから。
でも・・・・。
でも、まずは稜ちゃんが塁に出ないと何も始まらないよ・・・・。
相手ピッチャーのストレートに腰が引けたわたしは、アウトになっちゃうんじゃないかっていう不安で胸が押しつぶされそうになる。
「花森が応援しなくてどうする。よく見てみろ、稜のやつ、バットの握り変えたぜ」
「う、うん」
2球目を待つわずかな時間で何かをつかんだらしい稜ちゃん。
よく目を凝らして見ると、バットをいつもより短く持っていた。