谷間の姫百合 〜Liljekonvalj〜
仕方なく、リリは理由を話し始めた。
「……そもそも……こんなに生まれや育ちに隔たりのある私たちが婚約したこと自体……誤りだったのでは……?」
リリの澄み切った翠玉色の瞳が、みるみるうちに翳りを帯びていく。
「そんな私たちが結婚しても……幸せになるどころか、互いに理解り合うことすらできなくってよ……」
リリの言葉に、苦りきった顔の大尉の眉根に刻まれたシワがますます深くなっていく。
「つまり……あなたには、私との婚約を解消してまで添い遂げたいと願う……『生まれや育ちに隔たりの』ない男がいるということか?」