谷間の姫百合 〜Liljekonvalj〜

……えっ?

リリは虚を衝かれた。

……もしかして、大尉は私のことを心配して、あのようなことをおっしゃったの?

「修道女だけではなく、ウルラ=ブリッドからも『入れ知恵』をされていたとは……」

大尉は軍人らしい節くれ立った指で顳顬(こめかみ)を押さえながら、唸るようにつぶやいた。


「……リリコンヴァーリェ嬢」

大尉は突然、改まった口調でリリの名を呼んだ。

「私の生家は、確かにあなたが思うとおり、生粋の『貴族の家』だ」

軍人らしく感情をいっさい取り除いて淡々と告げるその冷徹さに、リリはなんだか圧倒されて思わず背筋を正した。


「我がグランホルム家では、婚姻関係を結ぶ目的は、子孫を遺して血筋を守るため以外には考えられない」

< 52 / 67 >

この作品をシェア

pagetop