谷間の姫百合 〜Liljekonvalj〜

「私がもし、プロテスタントに改宗などせずにカトリックのままでいいと言えば、あなたは修道院に入って神の花嫁になることを諦めて、もう一度私の妻になることを考えてくれるだろうか?」

やや目尻の上がった、アーモンドのように大きな瞳が、リリをまっすぐに見据える。
あまりにも眼光が鋭すぎて、彼女はたじろいだ。

「……グランホルム大尉……そ、それは……」

……まるで……プロポーズではないの?

グランホルム大尉とリリは、最初から「結婚相手」として出会ったため、求婚(プロポーズ)の「儀式」を経ることなく、双方の家によってすでに結婚することも、その結婚式の日取りまでもがすでに決まっていた。

そのときのリリは「政略結婚」なのだから、自らが生涯の伴侶と定めて結婚するのとはわけが違うのだから、と諦めていた。

だが……やはり、憧れていなかったかと言えば、それは「Ja(憧れていた)」である。


「何度も言うが、私は貴族の生まれであっても、爵位を持たぬ一介の海軍軍人に過ぎない。
だから、たとえ私と妻の宗派が違ったとしても、気にするほどの血筋ではないのだ。
どうかこれからの日曜礼拝は、イェーテボリの修道院ではなく、カールスクルーナのカトリック教会へ行ってもらえないだろうか」

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