病んでる僕と最強の勇者たち
「ねぇ、みんな北のお城が見えてきたけど、やっとモンスターたちを全滅させたんだから休もうよ。

リリーはもうクタクタなんだからね」



リリーはそう言って、ガックリと肩を落とし、体全体で、自分が疲れていることをアピールしていた。



「リリーの言う通りなのかもしれないな。

もう少し歩けば、広い草原が広がっていて、そこに一本だけ巨木が立っている。

あの木の影で少し休もう。

鋭気を養うのも戦いのうちだ」



僕はそう言ったマギーの言葉を感心しながら聞いていた。



マギーはいつもクレバーで仲間のことを考えている。



僕はそんなマギーを心強く思い、尊敬もしていた。



でも、パーティのリーダーであるブライアンが一歩前に出て、今言ったマギーの言葉を否定した。



「オレはすぐにでも北のお城に行くべきだと思う」



ブライアンがリリーやマギーとは別の意見を出して、僕はブライアンの言葉に耳を傾けた。



「北のお城には囚われの身のルキア姫がいる。

オレたちは一刻も早くルキア姫を助けるべきだ。

ちなみにルキア姫は、ベルミータ国の宝石と呼ばれているくらいの美人なんだぜ。

ああ、ルキア姫。

オレがルキア姫を救いますね。

この最強の勇者、ブライアン・シェリーが」



ブライアンが早く北のお城に行きたいと思っていたのは、ルキア姫に会いたいからなのかと思うと、僕は思わずため息をつき、戦いの疲れから肩を落とした。



ブライアンは確かに強いけど、かわいい女性にはめっぽう弱い。



そこがブライアンの唯一の弱点だ。
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