病んでる僕と最強の勇者たち
「元の世界の僕は最強の賢者なんかじゃなかった。

僕は落ちこぼれで、友達なんて一人もいなかったから……。

そんな僕にはこの異世界の空間が心地いいよ。

大切な仲間がいとおしいよ。

元の世界に戻ることが僕の本当の幸せなのかが、僕にはわからない……。

僕はこのままずっと、みんなと一緒にいたい。

最強のパーティの一員として、僕はずっとみんなと一緒に……」



僕はリリーにそう言うと、感情が溢れ出してきて泣いていた。



僕は本当に弱虫で、泣き虫で、カッコ悪い男だと自分で思う。



でも、それが本当の僕だ。



僕は最強の賢者になれたけど、心の深い部分ではずっとヘタレな明彦のままだ。



そのことを僕が一番良く知っている。



僕は弱い……。



どうしようもなく弱い人間なんだ……。



僕が流れ落ちる涙を拭ったとき、リリーが微笑みながら、僕に話しかけてきた。



「泣かないで、明彦君。

明彦君が泣いてたら、リリーまで悲しくなっちゃう。

明彦君がこの世界に来た意味って、この世界の人たちを幸せにするためだって、リリーは思うよ。

だからリリーは、明彦君と一緒に最後まで戦いたい。

明彦君と会えなくなったら悲しいけど、リリーたちはベルミータ国の人たちを救わなくちゃいけないから。

それがリリーたちの大切な仕事だと思うから」
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