病んでる僕と最強の勇者たち
僕が気づいたとき、そう言ったリリーも涙ぐんでいた。



リリーがいつから泣いていたのかを僕は知らない。



でも、リリーは僕のために泣いてくれた。



こんなダメな僕のために……。



「明彦君、リリーたちはこのベルミータ国を救って、ベルミータ国の歴史になるんだよ。

そしたら明彦君の名前や記憶は、この国の人たちの間で残り続ける。

明彦君はリリーたちと一緒に、ベルミータ国の英雄になるんだよ」



この僕がベルミータ国の英雄になる……。



リリーのその言葉に僕の胸が震えた。



あの何も持たなかったヘタレな明彦が、ベルミータ国の英雄になるなんて、本当に奇跡の夢物語だ。



僕はそんな夢物語の主役になって、最強の仲間たちと共にいる。



僕は生涯、このときの記憶をなくさないと思う。



僕が一番輝いていた異世界での物語。



そして、心から大切な仲間たち。



僕はきっとその記憶を胸にこれからも生きていく。



大切な仲間たちとは別の世界で……。
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