病んでる僕と最強の勇者たち

「クックックッ……。

甘い……、甘過ぎるぞ、ブライアン。

ここにルキア姫という戦いを有利にできる手駒がいるのに、それを使わないヤツはバカだ。

剣を捨てろ、ブライアン。

さもなくば、ルキア姫の命はないぞ」



ブライアンは怒りで体を震わせながら、ダーギルに向かって叫んでいた。



「汚ねぇぞ、ダーギル！

お前はそれでも闇の魔王か？

お前にはラスボスのプライドがないのかよ！」



「貴様には、私の言っていることがわからぬらしいな、ブライアン」



ダーギルはそう言うと、黒い影のような曖昧な実態を黄色く光らせ、魔法を唱えた。



「ルキア姫を拷問にかけてやろう。

ヒッヒッヒッ……。

電系の魔法、サンダーボルト！」



ダーギルがそう叫ぶと、ダーギルの体が黄色く光り、ルキア姫に落雷を落とした。



その瞬間、柱に縛られ動けないでいるルキア姫が声にならぬ悲鳴を上げながら、悶え、苦しみ、僕たちはその残酷な光景を込み上げてくる怒りの中で見つめていた。



「ルキア姫！」



僕はどうしようもない絶望の中で、ルキア姫の名前を叫んでいた。



すると次の瞬間に、ブライアンが手にしていた剣を足元に投げ捨てた。



そしてブライアンはダーギルをにらみつけ、ダーギルに向かって叫んでいた。



「剣は捨てたぞ、ダーギル！

ルキア姫を解放しろ！

それがお前の望みなんだろ！」



ブライアンが剣を捨てた……。



僕はその衝撃的な出来事に体が震えた。



ブライアンは最強の強さを持っているが、心の中にいくつかの弱点を持っていた。



女に甘過ぎる。

仲間を思い過ぎる。

そして、心が優しい過ぎる。



ブライアンのそんな心の中の弱点は、みんなブライアンの魅力そのものだ。



僕はそんなブライアンの数少ない弱点を突いてきたダーギルが許せなかった。



僕はダーギルのすべての行動に強い怒りを感じ、剣を握りしめている手が悔しさでプルプルと震えていた。