病んでる僕と最強の勇者たち
「明彦、リリー、勝利を確信するのはまだ早い!

ダーギルはまだ生きている!」



マギーが言ったその言葉を僕は信じられないままに息をのんだ。



だってもう、このフロアーに敵はいない。



ダーギルとの戦いは、僕たちの勝利で終わった。



僕にはそう思えるのに……。



僕が心の中で、そんな思いを抱えていたとき、マギーはダーギルが生きていると確信している理由を僕たちに語り出した。



「ダーギルが死んだなら、ダーギルの魔力は消え去り、ベルミータ国を覆っている黒い雲が消えるはずだ。

それなのに、ベルミータ国はまだ黒い雲に覆われ、闇に包まれたままだ。

きっとこれからが本当の戦いになる。

闇の魔王、ダーギルは私たちの前にまだ姿を現してさえいないんだ!」



僕はマギーのその言葉に衝撃を受けていた。



ダーギルはまだ僕たちの前に姿を現してさえいない……。



ベルミータ国の空から黒い雲が消えないのは、ダーギルがまだ生きている証拠だ。



だとしたら、本物のダーギルはいったいどんなヤツなのだろう?



僕がそんなことを考えているとき、お城の最上階のフロアーに不気味な笑い声が響き渡った。



僕たちはその笑い声に警戒し、戦闘体勢を整えた。



ダーギルとの戦いは、今からが本番だ。



僕は再び、最高の集中力で、闇の魔王、ダーギルの出現を待っていた。
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