病んでる僕と最強の勇者たち
「大丈夫か、リリー?」



僕はリリーにそう言って話しかけたが、リリーからの返事はない。



僕は傷ついたリリーが心配で、意識のないリリーを見つめながら、回復薬を取り出した。



そして僕はその回復薬をリリーの口元に運び、リリーにまた話しかけた。



「この回復薬を飲めば、リリーはすぐに良くなるよ。

僕は最強の魔法使い、リリー・ネルソンの強さを知っているから。

僕はリリーの強さを信じているから」



僕がそう言ってリリーに回復薬を飲ませたとき、僕の後ろの方から剣と剣がぶつかる音がした。



僕がその音に気づいて、後ろを振り返ったとき、ダーギルが魔法で作り出した二刀流の剣でブライアンの剣に対抗していた。



そして高速で剣を振り回す二人の戦いは、僕たちとはまるで別次元の戦いで、僕は二人の戦いに見とれていた。



ブライアンの電光石火の剣もすごかったが、それに対抗するダーギルの二刀流の魔法の剣もすごかった。



僕は二人の剣がぶつかり合う度、この世の中で最強と思える二人の戦いに、胸が熱くなっていた。



(ブライアンとダーギルの実力は互角だ。

二人とも本当にすごい。

強さを極めた人の戦いって、こんなにも人の心を動かすんだ。

僕はブライアンの戦いをずっと見ていたい。

この世で最強のブライアンの戦いを)



「明彦、リリーは無事か?」



僕は聞き慣れたその声に振り返った。



するとそこにはようやくダメージが抜けて、体力が回復したマギーが立っていた。



「マギー!

やっと回復したんだね。

リリーは重症だけど、回復薬を飲ませたよ。

リリーはきっとダーギルの魔法を受けた大ダメージから回復するはずだよ」



僕がそう言ったとき、僕が抱きかかえていたリリーが僕に話しかけてきた。



「明彦君……。

もしかして、リリーは寝てた?

ねぇ、ダーギルは?

リリーの仲間たちは?」



僕はそう言って目を覚ましたリリーを思わず強く抱きしめていた。



あのリリーが無事で生きてる!



あの優しくて、仲間思いで、最強の魔法使いのリリーが!



僕はそう思うと、今にも泣き出しそうだった。



リリーが生きてて良かった。



本当に良かった。
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