病んでる僕と最強の勇者たち
みんなの力を合わせれば
僕はリリーを助けるために全力で走っていた。



僕が見る限り、ダーギルの魔法をまともにくらったリリーは瀕死の重症を負っているに違いない。



僕がリリーに回復薬を飲ませないとリリーはきっと助からない。



でも、リリーに向かって猛然と走る僕にダーギルの巨体が立ちはだかった。



「おい、小僧。

どこに行きやがる。

お前の相手はこのオレ様だ!」



そう言って、高速で移動してきた黒い巨体のモンスターに僕は脅威を感じていた。



ダーギルを倒さなければ、リリーにはたどり着けないのだろうか?



ダーギルに力で劣る僕は、リリーを助けることができないのだろうか?



僕がそんなことを考えているとき、光のような速さで、僕のとなりを何かが通り抜けていった。



そしてその何かは一直線にダーギルへと向かって飛びかかっていった。



「ブライアンだ……。

あの高速の攻撃はブライアンだ!」



ブライアンの電光石火の剣があのダーギルを後退させていた。



この戦いが始まってから初めてダーギルが劣勢の立場に追い込まれ、ブライアンは息もつかせぬ早業でダーギルを追い詰めていく。



僕はその光景を見て、改めて最強の勇者、ブライアンの強さを思い知った。



ブライアンは僕たちのパーティの中でも群を抜いて一番の実力を持っている。



僕はそんなブライアンに尊敬の念を抱きながら、再びリリーの方へと走り出した。



ダーギルの魔法をくらったリリーは、うつ伏せに倒れたまま、ピクリとも動かない。



僕はリリーのそばに駆け寄り、うつ伏せに倒れているリリーの側で膝をつくと、瀕死の重症を負っているリリーを抱きかかえた。
< 223 / 239 >

この作品をシェア

pagetop