病んでる僕と最強の勇者たち
「勇者様たち、闇の魔王、ダーギルを倒してくれてありがとう!」



「ベルミータ国に日の光を取り戻してくれてありがとう!」



「ルキア姫をダーギルから救ってくれてありがとう!」



僕たちがお城の中のメインの道を歩いていくと、僕たちに感謝の声が嵐のように降り注いできた。



僕は自分にこんな栄光の日が来るなんて、思ってもみなかった。



だって僕の小さな世界は、四畳半の僕の小さな部屋の中で完結していたから。



僕はその小さな部屋の中で、僕が主役の夢の世界を想像するのがやっとの男だったから。



それなのに、そんな自分が夢のような物語の主役でいられることに、僕は胸が熱くなって涙していた。



そして、一度、僕の瞳から涙が流れ落ちると、その涙は止まらなくて、僕は何度も涙を拭いながら、僕たちを祝福してくれる人たちの中を歩いていた。



「泣くな、明彦。

男らしくないぞ」



ブライアンはそう言って、笑っていた。



「うれしいときは泣いてもいいよね。

リリーは泣き虫な明彦君も大好きだよ」



リリーはそう言って、小首を傾げながら、僕のことを見上げていた。



「勝利の涙は美しいものだ。

勝利に心震え、涙するのも戦士らしいぞ、明彦」



マギーは凛とした表情で、僕の涙を称えてくれた。



そして僕たちは夢のような待遇の中で、シェーラ姫の部屋にたどり着いた。



ルキア姫がシェーラ姫の部屋のドアを開け、王族の姉妹は対面を果たし、二人は感動の中で抱きしめ合った。



これで僕たちの冒険はすべて終わった。



僕たちの戦いは、たくさんの人たちを幸せにできた。



それだけで十分だ。



僕たち四人はベルミータ国の英雄になり、これからもベルミータ国の伝説となって、この国の人たちの心の中で生き続けていくだろう。
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