病んでる僕と最強の勇者たち
「おい、チビ助。

何だその不様な攻撃は。

そんな攻撃でこのオレに勝つつもりなのか?」



僕は完全に自分の弱さを、このひげ面の盗賊に見透かされていた。



僕は戦闘の素人。



言うならば、戦闘童貞だ。



そんな僕がこんな荒くれ者の盗賊に勝てる道理があるだろうか?



しだいに劣勢になっていく状況の中で、ヘタレな明彦の真の姿が見え隠れし始めていた。



そうだった……。



元の世界の僕は、アニオタで引きこもりの友達いない系なヘタレだった。



そんな僕が簡単に生まれ変われるなんて、やっぱり夢物語に過ぎなくて……。



僕が迷いの中で戦っているとき、ひげ面の盗賊は僕の懐に飛び込んできて、手にしたこん棒を振りかざした。



「死ね、クソガキ!」



ひげ面の盗賊の会心の一撃が僕の頭へと迫っていた。



この攻撃を回避することは、もはや不可能だ。



僕は生まれ変わったばかりの異世界で、命の終わりを感じていた。
< 33 / 239 >

この作品をシェア

pagetop