病んでる僕と最強の勇者たち
「ぼ、僕もじゃんけんに参加するの?」



僕はブライアンの言葉に焦りまくって、そう答えた。



戦闘童貞のこの僕に、いきなりハードな現実が迫っていた。



僕はどうにかして、この戦闘を避けなくては……。



「早くしないとジャイアントタイガーが襲ってくるぜ。

もう時間がない。

勝負だ!」



僕が反論する余地もなく、話は最悪の方向に進んでいった。



そして僕が何かを言おうとしたとき、ブライアンがもうすでにじゃんけんの音頭を取っていた。



「それじゃ、行くぜ!

最初はグー。

じゃんけんぽい!」



僕は絶対に負けられないこの戦いにビクトリーの願いを込めてチョキを出した。



でも、僕が出したチョキの回りにみんなが出したパーが三つ並び、勝負は呆気なく決まってしまった。



「チキショー、負けた!

やっぱりここは、勝利のVサインのチョキだったか!」



ブライアンがそう言って悔しがる様子を、僕は悪夢のような現実の中で見ていた。



僕があのジャイアントタイガーを倒せるわけがない。



僕は戦闘童貞を卒業すると同時に、この異世界からも旅立って行くのだろう。
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