ゾーイ・テイラー〜温もり、のちにキス〜
ロネとゾーイはシビラ族について調べ、森に精霊たちを見に来るついでに探している。しかし、シビラ族は貴重な存在で魔族に狙われていることもあり、政府から保護されているらしい。そのため、居場所を魔法で特定したりすることができないのだ。

「あの魔族がまた現れるならすぐにその魔族を倒して終わりなんだけどね」

ロネはそう言い真っ白な地面を見つめる。すると、地面に小さな人の足跡があることに気付いた。

「ゾーイ、ここに人の足跡がある！」

ロネがそう言うと、ゾーイは足跡をじっくりと観察し始める。

「まだ新しい足跡だな。このサイズからして子どもだろう。……近くにいるはずだ」

ゾーイはそう言った後、まるで獣が狩りをする時のような鋭い目で森の中を見回す。そしてある一点で目を止め、ロネが驚くほどのスピードで走っていった。

「見つけた」

木の影でゾーイは立ち止まり、しゃがみ込む。その顔は先ほどとは違いとても優しい表情だ。

「ゾーイ、一体何を見つけたの？」

ゾーイに見とれていたロネは慌てて彼女のもとへ走る。そして、木の影に隠れていた存在に驚いた。

木の影にいたのは、ボロボロの薄汚れたワンピースを着た小さな女の子だった。履いているブーツには穴が空いていて、寒そうに体を震わせている。黒い瞳に薄紫の髪というロネが今まで見たことのない見た目の人物だった。
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