ゾーイ・テイラー〜温もり、のちにキス〜
「寒いからか?人があまりいないな……」

ゾーイはそう言いながら通りを見る。通りに並ぶお店などはロネたちが暮らしていた街のものとは当然違う。

「確かに寒いね〜。アリファーン!」

二人とも薄いコートしか持っていない。ロネが呪文を唱えると二人は温かい空気に包まれる。

「ロネ、ありがとう」

ゾーイがニコリと微笑み、ロネはまたキスをしたくなる。その気持ちを堪え、ロネはカフェを探した。甘えるのは夜にしようとロネは思う。

「カフェ、見つからないね〜」

「田舎だからな」

そんなことを話しながら二人は歩き続ける。通りに並んでいるのは銃などの武器を売っている店やバーなどだ。

「カフェ、なさそうだね」

どれだけ進んでもカフェは見つからない。ロネは白い息を吐き、ゾーイも「もう宿に行くか?」とロネを見つめる。ロネは少し考えてから「そうしよっか」と笑った。

「宿でイチャイチャしよっか」

「そ、そんなこと大声で言うな!!」

顔を真っ赤にするゾーイを可愛いとロネが思っていると、何かの気配を感じた。思わず足を止める。ゾーイも真剣な目をしていた。
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