ゾーイ・テイラー〜温もり、のちにキス〜
「ヘイアン!」

低い声がいくつも聞こえた。その刹那、空中や裏通りに続く道から黒い光線が飛び出してきた。その光線は全てゾーイに向かって飛んでいる。

「ゾーイ!!」

ロネは素早くゾーイを抱き寄せる。そして防御魔法の呪文を唱えた。二人を透明なバリアが包む。

「……ッ!」

黒い光線はバリアを壊そうと次々に放たれていく。誰が魔法で攻撃をしてくるのかロネはわからず恐怖を感じた。

「ロネ……」

ゾーイがロネの着ている服をギュッと掴む。その顔を見てロネはギュッと拳を握る。自分は何のために旅をしてきたのか、それは世界一の魔法使いになるためだ。

「エスペランサ!」

ロネは杖を黒い光線が飛んでくる場所に向ける。すると、ロネの持つ杖から七色の光があふれ始めた。

「綺麗……」

ゾーイの呟きにロネは嬉しくなる。ロネの杖から放たれた光は空中や裏通りを包んでいく。すると、黒いフードをかぶった人物の姿が現れた。
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