異世界和カフェ『玉響』。本日、開店いたします!
 そう、私には決定的に、和菓子作りの才能がなかった。

 あくまでも普通で、それ以上ではない。

 気づいた時には相当なショックを受けた。

 それでも腐らず頑張ってはみたのだが、やはりどう足掻いても私には才能がない。

 いくら努力しても、どら焼き作りから先に進めない。

 普通に美味しい、から突出することができないのだ。

 これでやる気を出し続けろと言うのは酷な話で、最近では、私はすっかり和菓子に嫌気が差し、父の誘いにもなかなか頷かなくなっていた。

 どうせ、大学を卒業したら、職人になるための修行をしなければならないのだ。

 その時こそ、才能のない私の真の苦悩が始まる。

 逃れることはできない。

 ――それならせめて今くらいは自由にしていたい。

 そんな風に考え、休みの日はできるだけ外に出るようにした。

 父から誘われれば断れない。

 だから、その状況を作らないという方策にでたのだ。
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