激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
正直に申告すれば、店長は太めの眉をひそめて、はぁーっと深いため息をついた。


「取引停止だそうだ」
「えっ……。申し訳ありません!」


深く頭を下げる。

板垣さんの怒りは相当だったようだ。
自分がした行為に後悔はないけれど、店に損害を与えてしまった。

あの会社は、重役フロアや玄関の装花だけでなく、各フロアに置いてある観葉植物もル・ブルジョンが管理していて、私だけでなく他のフローリストも出入りしている。

結婚式場ほどの売り上げはないが、重要なクライアントだった。


「ただ、重森さんを辞めさせるなら今後の取引を考えてもいいと言われて。どうしたら……」


困惑の表情を浮かべる店長が漏らした。


「そう、ですか」


私が辞めれば、取引を続けられるの?

この店が大好きで、店長にもお世話になった。
ここでフローリストとしての腕を磨かせてもらった。

悔しいけれど、店に損害を与えるのは本意ではない。

私はしばし考えて、重い口を開いた。


「明日、辞表を持ってきます」

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