激愛~一途な御曹司は高嶺の花を娶りたい~
「なんでこんなことに……」


私は必死に仕事をしてきただけだ。

たしかに、クライアントに噛みついたのは悪かったと思う。
でも、罪もない花を何度も踏みつけるなんて、人として許せなかった。


悲しくて涙がこぼれそうになったもののこらえた。

これから作成するのは幸福を運ぶブーケだ。
沈んだ気持ちで作っては、いいものなんてできない。

折れそうになる気持ちにカツを入れ、深呼吸して気持ちを切り替えてから、白いバラに手を伸ばした。



大好きだったル・ブルジョンを辞めなければならないという事実に打ちのめされて、ひと晩泣きに泣いた翌日。

真っ赤に腫れた目を冷やした私は、バッグに退職届をしのばせて店に向かった。

今日はこれを提出して、結婚式の装花の段取りを引き継いだら帰るつもりだ。


突然の退職となり、これからどうしたらいいのかわからないが、またフローリストとして雇ってくれるところを探そうと思っている。

この仕事が好きだからだ。


「失礼します」


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