【短編】恋愛モルモット~恋の価値観~
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「宮城、お、おはよっ……あの、コレ!!」
翌日の通学路の途中、宮城を待ち伏せしていたあたしは宮城の姿を見つけるなり走り寄って紙袋を差し出した。
それは昨日宮城に借りたカーデガン。
近くにある24時間営業のクリーニング屋さんで一番最短で仕上げてもらったもの。
宮城はあたしをしばらくじっと見て……紙袋を受け取った。
「……体調は?」
「え……あ、大丈夫。……宮城は?」
「俺は片脚しか濡れてないからな。心配いらないよ」
「そっか……よかった」
寒がりだって言ってた宮城を後になって思い出して……ずっと気になってたんだ。
……寒がりなのにあたしにカーデガンを貸してくれた事が嬉しくて、何度もニヤついちゃったのは宮城には秘密。
「大体、薄着過ぎるって言っただろ?」
「……」
「なのにブラウス一枚でいる里咲が悪い」
「……気をつけます」
学校に向かいながら、宮城は昨日の事についてあたしに文句を並べたけど……全然頭になんかこなかった。
そんな取ってつけたような言葉……思わず優しくしちゃった照れ隠しにしか見えないし。
嬉しい気持ちが膨らんでいって、あたしの口許を緩ませる。
それがなんの感情なのか、あたしはもう薄々感づいていたけど……今の宮城との関係を壊したくなくて……
一緒に居られる時間をなくしたくなくて。
だけど気付いてしまった気持ちは複雑で。
どうしていいのか分からなかった。
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