【短編】恋愛モルモット~恋の価値観~


「里咲さんっ」


涙が引いてからトイレから出ると、そこにはいつもドアに張り付いて宮城を見てる女子がいた。

いつもいる2人組。

その中でも、宮城熱が高い方の子。


同じ学年だって事は知ってたけど、話しかけられるのは初めてで……名前も知らないその子に、あたしは曖昧な笑顔を返す。


その子は少し言い難いのか少しだけ黙って、だけど意を決したようにあたしを見つめて口を開いた。


「昨日、宮城くんが里咲さんと一緒に帰るの見ちゃったの……

その、付き合ってたりするの?」


直球の質問に、あたしは返す言葉を迷う。

事実をそのままに口にするのは、自分に言い聞かせるようで少し嫌だったから。


だけど、どんなに考えを巡らせたって……あたしと宮城は――――……


「……ううん。そんな関係じゃないよ」


どんなにあの4日間のデートを思い出したって

どんなに宮城に優しくされたって


あたしと宮城はそんな関係なんかじゃない。

そんな……甘い関係なんかじゃ、ない。



分かっていた事でも自分で言うとそれを認めるしか道が残されていなくて……

その道を見つめるのは、酷く胸が痛い。


気付いたばかりの気持ちを拒絶されるのは……つら過ぎて。


宮城はあたしをなんとも思っていない。

宮城はあたしを……嫌ってる?



今朝の宮城を思い出す度に潰されそうに苦しくなる胸が悲鳴を上げてあたしを呼ぶ。


苦しいって。

痛いって。

泣きそうだって。



どうしょうもないほどに、締め付けられる胸がこんな時でも宮城を想っていて……

どんどん大きくなる想いに歯止めが効かない。




可能性がないのにこれ以上好きになったって仕方がないのに……

あたしは本当にバカだ。





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