【短編】恋愛モルモット~恋の価値観~


あの後、諦めの悪い自分に言い聞かすみたいに、その子に全ての事情を話した。


そしたら

『じゃあ今日からはあたしが行く!』ってすごく嬉しそうに言った。


なかなか頷けないあたしに、『……里咲さんは宮城くんの事好きじゃないんだよね?』って聞いて来て……

あたしは、なんとか作った微笑みだけ返した。


『校門にいれば宮城行くと思うから……』


作った偽物の微笑みは、それだけを言うのがやっとだった。


脆くて弱いあたしの仮面は、その子と別れた途端にすぐに剥がれて……

代わりに涙が溢れ出す。


本当は嫌だった。

あの場所を、宮城の隣を……あたし以外の女の子に渡したくなかった。


だけど……

だけど――――……





あんな事言われて、宮城と普通に接せられるはずがない。

こんな大きくなった気持ちに気付いちゃったのに、宮城に恋愛感なんか教えられるハズがない。


だったら、諦めの悪いこの気持ちを諦めさせるためにもこうした方がいいんだ。

いつまでも一緒にいたって、宮城には気持ちなんかないんだから。

あたしが勝手に勘違いしてどんどん好きになるのなんて目に見えてる。


だから……これで、いいんだ。



いいのに……





「嫌だよ……宮城……」



あたし以外に微笑まないで。

あたし以外に優しくしないで。

あたし以外を心配しないで。

あたし以外に触れないで。




あたしを、好きになって――――……





濁ったわがままな想いが、涙と一緒に床へと落ちる。

キラキラしてるのに、キラキラして見えるのに……その意味はとても綺麗とは言えない。


独占欲。

嫉妬。

傲慢。


詰め込まれた想いは、濁ったものばかりで……恋が、綺麗なだけの感情じゃないって知った。


汚い、あたしの恋心は……宮城に届くハズなんかがない。




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