不本意ながら、極上社長に娶られることになりました
「許婚……というものが、私にいるらしく」
そう言ってみると、みんなの頭上に〝?〟というクエスチョンマークが浮かんだように見えてくる。
聞き慣れない言葉を処理するのに時間を要するのは私自身体験済みのこと。
場の空気が一変し、黙ってまたグラスを呷った。
「えっ、何それ、許婚って!?」
いち早く情報を処理し、私に突っ込んだのはとなりの凛香。
持っていたフォークを取り皿に慌てて置いたせいで、カチャンと高い音が鳴る。
「え、それって……結婚相手が決まってたって、そういうことだよね!?」
凛香が噛み砕いてそう言うと、向かいの篤志が「マジかよ!?」と声を上げた。
「でも……私も、よくわかってないというか、うん……」
実際、この許婚の話がどういう風に進んでいくのかもイマイチわかっていない。
一番信じられないのが、あの桜坂社長が私の許婚ということ……。
「つぐみって、いいとこのお嬢だったってことか」
篤志は突然そんなことを口にする。
確かに〝許婚〟がいるなんて話を聞いたら、そういう解釈をするに違いない。
でも、全くもってそんなことはない。