不本意ながら、極上社長に娶られることになりました


 私にとって、男性とこんな風に手を繋ぐのは初めてのこと。

 二十二歳になるこの歳まで、残念ながら私には誰かとお付き合いをするというご縁がなかった。

 だから、普通の女子たちが彼氏と街を歩くみたいに、こうして男性と手を繋いで歩くということ自体が初体験なのだ。

 緊張のせいか、次第に繋がれた手の平の中が汗ばんでいくのを感じる。

 手汗をかいてしまっている自分にまた動揺して、心拍も上がる悪循環。

 そんな余裕のない私とは対照的に、桜坂社長は私の手を引きながらも全く顔色は変わらない。

 大人の男性の余裕というやつか……。

 いや、桜坂社長がこういうことに慣れているのだとも察する。


「あ、あの……」

「なんだ?」

「桜坂社長は、今、おいくつなんですか?」


 まずい。

 あれこれ考えていたら、ついなんの脈絡もなく年齢を聞き出そうとしてしまった。

 しかし……。


「三十五歳だ。今年で三十六になる」

 と、あっさりと年齢を教えてくれる。

 あまりにさらっと回答がきたことと、自分よりも一回り以上も上だったことに驚き「そう、だったんですね……」と、訊いておいてよくわからない反応を返してしまった。

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