不本意ながら、極上社長に娶られることになりました


 三十五歳……。

 私からしたら完璧な大人の男性だ。

 桜坂社長の新たな情報を得て、改めて鼓動は高鳴りを増す。

 桜坂社長からしたら、この間成人式を迎えたばかりの私なんて、完全に子どもにしか見えないと思う。

 見た目も中身も、彼の目に映る私は絶対にお子さまだ。

 こうして一緒に連れて歩くのだって、もしかしたら恥ずかしいと思っているのかもしれない。

 そうじゃなくても、少し前からすれ違う人の目が痛いのを感じ始めている。

 それは間違いなく、桜坂社長のような洗練された大人の男性が、私のような釣り合わない子どもの手を引いて歩いているから。

 あの人たちは一体どういう関係?と、他人は思うのだろう。

 桜坂社長そのものの存在がすでに人目を引く。

 だから余計に横にいる私に冷たい視線が掠めていくのだ。


「一回り以上も年上で、驚いたか」

「えっ……いえ、そんなことは」

「お前からしたら、大分おじさんだからな」


 ほんの少し口角を上げて、桜坂社長は自嘲気味に笑ってみせる。


「おっ、おじさんなんて、そんなこと全く思いませんよ! むしろ……」

「……?」

「私が大分子どもだなって、思ってたとこで……」

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