不本意ながら、極上社長に娶られることになりました
せめて二十後半、アラサーくらいならもう少し外見にしろ中身にしろ、大人の女性に近かったかもしれない。
持って生まれた素材が美人で容姿端麗でなくても、重ねた歳で今の私よりはきっともう少しましな大人の女性になっていて……。
そんなこといくら思ったって、どうすることもできないから心苦しい。
「別にそんなことは思わない」
「……?」
「つぐみを、子どもだと思って接してはない」
これまで〝お前〟と呼ばれていたのに、突然下の名前で呼ばれてまたドキリとしてしまう。
「そ、そうですか……それなら、いいんですけど……」
動揺を誤魔化してそう言うのが精いっぱいで、何について話していたのか吹っ飛びかけよくわからなくなっていた。
昼下がりの駅ビル内はショッピング客でどの店舗にもお客が入り、賑わいをみせている。
私の行きたい場所に連れていってほしいと言われて、まず買い物をしようと思っていた愛用のスキンケアブランドに一緒にきてもらう。
ショップ店員に話しかけられている最中も桜坂社長は私のすぐそばでその様子を眺めていて、なんだか普段はなんともない買い物のやり取りまで緊張してしまった。