つまり、会いたいんです。
「何か飲む?お水でいい?炭酸にする?」
「お水で」

グラスに水が注がれる。ダイニングテーブルの後ろの大きな窓からの光が透き通って落ちる。

程なく、前菜も運ばれる。

「美味しそう」

野菜のマリネを中心に白い皿に美しく盛られている。
一緒にワインらしき瓶と一緒に榛瑠も席につく。

「召し上がれ」
「いただきます」

どれも手間のかかったものではなかったが、とても美味しかった。なんだか料理の腕が上がってない?

榛瑠は小さめのグラスにお酒を注いでいる。ピンクゴールドのような色がグラスのカッティングをより美しくする。

「なんのお酒?」
グラスを傾ける榛瑠に一花は聞いた。

「ワインだよ。貴腐ワイン」
「え?すっごく甘いんじゃない?」
「甘いね」
「甘いのって好きじゃなかったよね?」
「たまには甘ったるいのも良いでしょう?」

そう言って伏し目がちにグラスを傾ける。見ながら一花は綺麗な輪郭をした目だなあ、とぼんやりと思う。

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