戀〜心惹かれる彼が愛したのは地味子でした〜
「この場に俺の親族や、アンタの上司である篠塚部長がいない理由、知っているか?」
「それは…、堅苦しくならないように取り繕ってもらったんだと」
篠塚部長は、今回の見合いについてそう言っていた。
本人同士の顔合わせ程度な訳だから、美味しいご飯を食べる気持ちで行けば良いと。
「まぁ、間違ってはいないが、正解でもないな」
「ちょっと待って。意味がわからないわ。…ちゃんと、説明して」
村雨くんから感じる今回の見合いの見識と、私が篠塚部長から聞いた見識はどこかチグハグな部分があるようだ。
最初から結婚は決まってたって、どういうこと?
「そんなに焦るな。隠す必要もないことだから、きちんと話す。…俺の両親、並びに神田家側の親族から俺たちの結婚について了承は得ている」
「えっ…」
嘘でしょ?
村雨くんから聞かされた衝撃の事実に、思わず私は絶句した。
だって、神田商事といえば、日本で誇るトップ企業の一つだ。
私たちが勤めている会社もそこそこ有名な企業だけど、神田商事と比べれば劣ってしまうだろう。
そんな大企業の運営権の一手を握っている神田一族が、一般庶民の私と社長息子の結婚を認めた?
「信じられない…」
思わず本音が溢れてしまい、とっさに口元を手で覆った。