戀〜心惹かれる彼が愛したのは地味子でした〜
「う、疑ってるわけじゃないけど、一応…両親に確かめても、良い?」
「どうぞ。何もやましいことなんてないんだから、ここで電話しろよ」
今すぐにでも確認したい気持ちがあったので、すぐにスマホを取り出し、母の連絡先をタップした。
『はい、もしもし?』
着信コールを鳴らして3秒。
どこの企業の受付かと突っ込みたくなるほど、レスポンスの早い母の声は、焦る私の心とは反対に能天気なものだった。
「もしもし、彩葉だけど」
「あっ、いっちゃん?いっちゃんから電話くれるなんて、ママ嬉しいわぁ〜!最近、仕事忙しくしてるようだけど、今日みたいに時々はママたちに連絡ちょーだいよ」
「ご、ごめん。あの、それよりお母さん。私、お母さんに聞きたいことあるんだけど」
話好きな母への対応もそこそこに、私は本題を切り出した。
どうか、嘘だと言って。
そんな気持ちはいとも簡単に打ち砕かれる。
「私と神田さんの結婚を了承したって、本当なの?」
「ええ!そうよ、そうだったわ!その件でこの前、いっちゃんに電話したのに、貴女、全スルーだったじゃない?あんなに立派な殿方と付き合ってるなんて、ママとパパ、ほんっとうに驚いたけど、律さんって良い方ね!律さんがいっちゃんをお嫁にくださいって言った瞬間、はいって答えちゃったわ〜」
お母さん、娘の結婚を何だと思ってるんだろう…
母の言葉に呆然とする私の目の前で、村雨くんは勝ち誇ったような微笑みで「嘘じゃなかっただろ?」と小声で囁く。
「なんでお母さん、簡単に頷いたりしたの…」
「だって〜、律さんが本当に紳士で格好良かったんだもの〜!」
やっぱり見た目で騙されたのか…!
昔から、母は面食いだった。
好きな芸能人はどれもトップクラスの爽やかイケメン俳優だし、お父さんと結婚した理由も、一生顔を合わせてもドキドキする顔面だったからという生粋の面食い様。