戀〜心惹かれる彼が愛したのは地味子でした〜



正直に村雨くんがそばにいることを母に言って良いものかと、悠長に悩んでいたのがいけなかった。


「貸して」

「あっ」

「ご無沙汰しております。小百合さん」


すぐ隣に村雨くんが来ていたことにも気付けなかった私から、いとも簡単に私のスマホを奪った村雨くんは、これまで見たこともない様な柔和な声で母を呼んだ。

さ、小百合…さん?!


「あらっ、やっぱりその声、律さん!?急にいっちゃんから電話が来るなんておかしいと思ったら、律さんだったのね!いっちゃんに、私たちに電話するよう言ってくれたんでしょう?」

「ええ、まぁ。以前、小百合さんたちが彩葉さんからの連絡がなくて寂しいとおっしゃっていたことを思い出したので」

「あらまぁ、妻の親のことまで気にかけてくれるなんて…やっぱり律さんは立派な方ねぇ〜。こんな格好良くて思慮深い方が旦那さんなんて、いっちゃんも隅に置けない女だったってことね〜!」


お母さん…言い方が下品すぎでは?

本当に娘のことを何だと思っているのだろうか。

お母さんと友好的に話をしている村雨くんの様子と、母の話を聞いた限り、私と村雨くんの結婚話は本当のことのようだ。

っていうか…私ってば村雨くんの言葉で勢いで母に連絡したけど、これって私から連絡したことで、母の中で村雨くんの婿としての株が上がったことになってない?

母の長話に付き合っている村雨くんと目が合った瞬間、ニヤリと口角をあげた彼を見た瞬間、そんな疑いは確信に変わった。

とんでもない策士だわ…!!


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