新たな恋の始まり
トシさんのお店に着いた
インスタで見るお店の雰囲気と
スラっと長身のトシさん
まるで芸能人を見てるかの感覚に
静かに私のモチベーションは
上がってきた。
「俊介から聞いてるよ
どうぞ」と鏡の前に案内された。
まだスタッフさんは数名残っていて
「今からちょっと友達の彼女の
カラーカットするから
終わったら戸締りして掃除して帰るんで」
と店のスタッフさんの手前か?
課長がトシさんの友達で
私がその彼女?
トシさんは私がフラれての
イメチェンだと俊介さんから
聞いているからきっと
周りの目があるから
そんな設定になってるのだろう。
そりゃ閉店後に女の子1人を
特別に入れてとなると
変な噂でもされかねないしね
ここはさっきと違い
恋人を装ってたほうが良いかもしれない。
しばらくすると課長は
待ちくたびれたのか?
待ちくたびれたと言ってもまだ
開始30分経過だけだけど。
「ちょい外に出てくるわ」
とトシさんに言ってお店を出て行った。
「課長とトシさん
よく会うんですか?」
「康介通じてね
何回か会ってるよ
いい奴だよあいつ」
「そうなんですね」
「普通さぁ
大事な休日を使わないよー
オレだったら断るね
あいつは暇なんだなぁ」
「俊介さんに頼まれたから
仕方なかったんじゃないんですかね」
「それぐらいで動く男じゃないと思うけどね」
「関わり合ってしまったから
仕方ないんですよきっと」
「そうかな?
まぁ自分だったら頼まれたからって
休日は使わない
きっと下心があるね」
「下心ですか?」
「そう!君のことが好きだからだと思う
それかこれをきっかけに
休日まで使ってやったんだからって
日頃コマ使いされるか?」
私を好き?
それは100%ありえない。
「だとしたら
コマ使いですかね
月曜日から怖いなぁ」
「冗談はさておき
本題は戻るけど」
「本題?本題ってなんです?」
「クソ男と付き合ってたって?」
「そうなんですよ!
ほんとにー
最悪な二股野郎でした」
とまた剛の話。
「絶対見返してやりたくて!
まさかカットしてもらえるとは!
本当夢みたいで」
「どんな風にしたい?」
「この長い髪を思い切って切ろうと思ってます
お任せでいいですか?」
「かしこまり!」