新たな恋の始まり
「お前さっきから電話鳴ってるけど?」
マナーモードだったから
気が付かなかった
相手は俊介さんだった。
「あっ
俊介さんからだ」
「はぁ?」
課長はクラッカーチーズを
一口含んで手を止めた。
俊介さんはどうだった?と言う電話だった
めっちゃ良くて感動したことと
見せに行こうと思ったら
遅かったことを伝えて
少し話して電話を切った。
電話を終えると課長が
「なに電話番号教えてんだよ」
と私に言った。
「え?何って•••?」
「はぁー」わざとらしく
大きなため息をついた。
「なんなんですか!それ」
「お前は分かってないな」
全く!!!と言いながらブツブツと言う。
その態度に少しイラッとした
だから「何がですか!」と強めに聞いた。
「お前はオレだけ見てればいいんだよ」
なんて?今なんて言った?
オレだけ見てればいいって?
「は?課長それノンアルですよね?」
「当たり前だろ!
アルコール入りで酔ってると思ってんのか?」
「ですけど•••
オレだけ見てればってどう言うことですか?」
「まんま」
「まんま?」
「言葉の通り!」
「またまたぁー
もーほんとっ!課長は
真剣な顔して冗談言わないでください」
「小島さんと別れたのは
オレも責任あるから」
「どう言うことですか?
さっぱりわかりません
何か仕掛けたんですか?」
課長が言うには何も仕掛けたりしてないけど
「早く別れろ」とずっと念をかけてたみたい。
「何で?」
「鈍感!」
「ど•鈍感?」
「もーーー本当鈍感!
そこら含めてオレのツボ」
「そんな言い方されたら
自惚れてしまいます•••
いつもの冗談ですよね?」
「本気だけど?
いつも本気!真剣勝負してる
こっちの本気を冗談に取るのは
お前だから」
「いつの話をしてるんですか?
記憶にないです」
「あいつよりオレの方がいいと思うよって
つい先週も言ったよな」
「言われましたけど
冗談だと思ってましたから」
「本気にされたら困る相手には
そんな事軽々しくは言えない」
「あたしは本気にとっても良いってこと?
ですか?」
「あーもーーー!!!
オレはっ!就任してきてから
美波に惚れてたの!」
「えっ!うそっ!」
「いつかあのクソ男から
奪ってやろうと思ってた
そんな矢先チャンスが
転がり込んできたから
ここは推さなきゃと思ってた」
「あんなあたしを?」
「あんなとは?」
「垢抜けないと言われたあたしです」
「あいつの見る目が腐ってるんだよ
だからイメチェンもするなって言いたかった」
課長の言葉に頬が赤くなる。
「なんか•••恥ずいです」
「美波•••」真剣な顔で見つめられ
目線を落とした。