新たな恋の始まり
剛のことなんて
一気に冷めた。
本性を知ってがっかりした。
剛を失ったらと不安に思ってた自分が
すごく情けない。
実際は振られたのだが
今課長が言った【傷心】とかなくて
ただ2人に言われたことが
悔しいだけ。
それを乾杯後
課長に淡々と話した。
「あんな男を好きだったなんて
本当自分が情けない」
「お前は周りを見なすぎるよ
もっと周りをよく見ろ」
「入社してまもなく告白されて
親切で良い人だったし
田舎から出て来たあたしは
あの人だけが頼りだったし
でも!それが裏切られてたと思うと
本当ムカつきます」
「マジで見る目ないよな
前から忠告してただろ」
確かに課長から
「早く別れろ」と
言われた事がある。
課長は笑って言ってたから冗談だと思い
私は「あはは」と誤魔化していた。
「あんなバカ男より
世の中にはいい男いっぱい居るんだから
例えばオレの様な」
「課長の様な人はまた格別ですよ
うーん雲の上の人?的な感じ」
「アホかお前は雲の上って
勝手に殺すな」
「課長も面白いですなぁ
雲の上で何で死ぬんですか」
「いやいや もーお前と話してると
頭おかしくなるわ
どうでも良いから食え!」
目の前に並んでるステーキ
フォークとナイフで切る。
「あっ!!!」
思い出した
課長は時間潰しに横になってたと
話してたのに
あの後何か用事があったんじゃない?
「なに?突然大きな声で」
「課長用事があったんじゃ無いんですか?
時間潰しって言ってたじゃないですか」
「あーあれね
ただ眠くてあそこで寝てただけ
あいつらに大きなこと言って
自分も私用で使ってたってね
あいつらに言ったら怒るだろうな」
「課長とあの人たちの立場が違いますよ
課長は自分の家みたいなものですから」
「家ね•••おもしろい
それより!美波の新しい門出に乾杯」
とまたグラスを合わせる。
頼んでもないのに店員さんが
「店長からです」と持ってきた
ノンアルの果汁系のカクテル。
「本日2度目の乾杯ですね」
ゴクッゴクッと3口ぐらい飲んだのだが
ノンアルだと言うけど
顔が熱ってくる。
「これ本当にノンアルですか?」
「じゃない?
うん?いや?入ってるな!
あいつ!!!
ねっ!店長呼んできて」
他の店員さんに俊介さんを呼んでくる様に
頼んだ。