新たな恋の始まり


また店長の俊介さんが来たかと思うと
大きなお皿を抱えていた。


「バースデープレゼントね」と
フルーツ盛り盛りで
ミニサイズのケーキも乗ってるプレート
ちゃんとろうそくまで付いている。


「わっ!すごーい!!!
美味しそう!!!良いんですか?」


「あー大丈夫大丈夫!
康介からバッチリ貰うから」
ニヤリと笑う。


その態度に対して
「はぁ?」
と不満気な課長。


「安いもんだろささ
たかがフルーツぐらいで
こんなに喜んで貰えたら
ねぇー彼女さんっ!
誕生日おめでとう」


「あ•彼女じゃないので
なんか申し訳ないです」
と私が言うと
「ここに来たの失敗だったかな」
と課長が言った。


そりゃーそーだよね
私が彼女だと思われたらね。


飾らない女
垢抜けない女だものね。


「まぁーまぁー
そう言わずに康介はこれ」


「オレ?」


「カクテル作ってみた」


クリーム色のカクテル。


「ミックスジュースカクテル
題して康介応援カクテル」


「は?何それ
応援カクテル?」


「あっ!課長!
店長さんも応援してくれてるんですよ
わかってくれる人です」


「なにそれ?」


「さっきの話してたんですけど
店長さんは努力家で自分は
親のレールに乗ってるだけで
何も努力もないって
周りはそれをどうせお前は•••
みたいなことを言うみたいで」


「それは仕方ないね
康介の運命!
そんな恵まれた環境に産まれて来た
運命と書いてサ•ダ•メ!
頑張れと言うのはそう言うことじゃなくて」


「俊介!職場に戻れ!」
とペットをあしらう様に
シッシと手で追い払おうとした。


「はーい 帰りまーす!」


そのやりとりに笑って見ていた。


「こんなフルーツ盛りまで頂いて
幸せな誕生日になりました
ありがとうございます」


「良かったな
あのまま1人じゃなくて」


「ですね!
課長が居なかったら
今どうしてたんだろ」


「傷害事件起こしてたりして」


「え?それはあたしが被害者ですか?」


「起こしてた!だから
加害者ってとこかな」


「は???ムカつきます!」
と言いながらも課長は笑ってたから
冗談だとわかるし
私もそれがわかっての上の
ムカつく発言。


場は和んで会話が弾む。



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