マリンブルーの囁き
夏向の手が私の手首をぐっと掴む。その力にはきっと牽制の意味が込められていた。
手元から視線を上げれば、涼しげな瞳と対峙した。
顎のラインをなぞるように耳へと視線を移すと、片耳にキラリと光るピアスが目に入る。
それはついこの間、私が夏向の誕生日にプレゼントしたもの。
夏向に似合うと思って選んだ、マリンブルーのダイヤがあしらわれているピアス。
「…やめとけ」
さっきと同じ言葉を同じトーンで発した夏向の手を、
「…夏向に、関係ないでしょ」
私はなんの躊躇《ちゅうちょ》もなく、振り払った。