マリンブルーの囁き
「…ごめん、寝坊しちゃって」
いつも綺麗にセットされている髪は所々が寝癖で跳ね上がり、白いTシャツにジャージのハーフパンツという出で立ちで現れた先輩は、開口一番に申し訳なさそうにそう言った。
「いえ、大丈夫です」と首を横に振る私に、先輩は間髪入れずに再び口を開く。
「俺の家ここから近いから、俺の用意ができるまで部屋で待っててくれない?」
首の後ろ辺りをポリポリと掻きながら「さすがにこの格好じゃ何処にも行けないから」と続けた先輩に私は素直にコクリと頷いた。
先輩の言う通り、待ち合わせ場所から歩いて数分で先輩の家に着いた。
「今、家に誰も居ないし気遣わなくていいから」
「…あ、はい」
そう言う先輩に促されたのは、2階の奥の部屋だった。