愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
答えながら生唾を飲み込む。本当は胃がシクシクして吐き気が止まらなかった。おばさまは何を言いに来たのだろう。
おばさまは傷ついたように目を伏せ、悲しげな表情を作る。

「佑が全然話を聞いてくれないのでね。勝手に引っ越してしまって、私も主人も心配してるのよ」

だって、あのマンションはどっちの実家からも近くて、合鍵も渡してあった。これ以上干渉されるわけにはいかなかった。

「咲花ちゃんに会いにきたのはね。佑と主人の喧嘩を納めてほしいのよ」
「……喧嘩を?」
「佑はどうしても咲花ちゃんと結婚すると言って聞かないでしょう。主人との間に溝ができてしまってね。あの子は陸斗の後継者だし、社長業を代行している部分も大きいのよ。このまま佑が陸斗を辞め、私たちから離れて行ってしまったらものすごく困るの。社内的にも、対外的にも。わかるかしら」

おばさまはけして威圧的な口調ではない。どちらかと言えば、情に訴えるような言い方をしてくる。ああ、やはり作戦なのだと身構える私に、決定的な言葉が降ってくる。

「あなたから身を引いてもらうことはできないかしら?」

私はぎりと奥歯を噛みしめ、おばさまを見た。

「身を引けって……。何をおっしゃるんですか」
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