愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
「咲花、帰ってるのか?」

佑が帰ってきたとき、私はソファでうつらうつらとしていた。
薄暗かった室内は、すでに真っ暗だ。佑が電気をつけてリビングに入ってくる。

「ごめん、……ごはん作れなかった」
「そんなのいい」

佑の顔を見るとほっとしたのと同時に、胸が苦しくなった。

「体調、良くないんだな。それより、大丈夫か?何かあったか?」

私の前にひざまずき、顔を覗き込んでくる佑。私は涙が出そうになるのを堪えた。

「今日、うちの両親が会社に来たの」

佑の顔色が変わる。私は大丈夫というように首を左右に振り続けた。

「帰ってもらったわ。でも、会社に押しかけるのが続くと迷惑がかかっちゃう。明日、上司とまた相談するつもりだけど、赤ちゃんが安定するまで休職しようかと思うの」

本当は仕事には支障を出したくなかった。だけど、両親がまたやってくることを考えたら、一時的にも身を隠した方がいいのかもしれない。

「つわりも続いているし、俺はそれでいいと思うよ。休職できるか相談してみればいい」
「うん……それとね……」

言葉にならない。おばさまに言われたことが頭をめぐる。
心を決めたのに、私は揺れている。
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