愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
翌日、咲花から連絡があった。

【近くまで来ているからランチしましょう】

咲花の職場の四谷と陸斗建設のある虎の門は近いわけではない。大丈夫なのかと心配しながら昼休みに出てみると、会社前、咲花はワンピース姿で待っていた。

「今日は有給消化なの。溜まると消えちゃうから使いなさいって」

それで、いきなり尋ねてきたわけだ。昨日のことの返事がくるのは間違いなく、俺は身構える。

「有休使えって言うけど、同居や結婚式の準備をしてたら、きっとすぐになくなっちゃうよね」

言葉の意味に、咲花を見つめる。彼女はにっこりと笑った。

「佑さえよければ、結婚しましょう。家のためにも、お互いのためにも最良の選択だと思う」

はっきりと俺に伝えた言葉は咲花の決意だ。

「咲花はそれでいいのか?親については、気を遣わなくていい」
「前も言ったけど、佑のことは子どもの頃から知ってるもの。この先も一緒にいることに不安はないの」

にっこり微笑んだ咲花はどこか困ったような表情に見えた。咲花はもっと素直に笑えるのに。やはり無理させているような気がしてしまう。

「咲花、おまえに心から笑ってほしくて言っている」
「待って待って。今、佑に放りだされたら、私すぐに別な人とお見合いさせられちゃうわ。うちの両親ならやりかねない」

咲花は明るく説明する。
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