もっと秘密なラヴシークレットルーム 日詠医師の溺愛ぶりは糖度高めで要注意?!
その後も、額の上のタオルを取り換えてくれたり、首元の汗を拭いてくれたりする達也くんの気配を感じる。
ここに居てくれている達也くんを帰らせてあげるように促す気力もないことを情けなく思いながら、目を閉じたままウトウトするずるい私。
そんな中、聞こえてきた小さな声。
「伶菜さんの元旦那は、今の伶菜さんのこと、知っているのか?」
「僕だったら、伶菜さんをこんなにも頑張らせないのに・・・」
「もっともっと・・・大切にする」
初めて耳にした達也くんの心の声。
熱のせいなのか、それとも自意識過剰なのか、
私のことがスキだと聞こえてしまう。
どう反応していいのかわからない私は目を開けないまま様子を窺うことしかできない。
そんな中、再び外されたおでこの上の、まだ冷たいはずのタオル。
その直後に、おでこで感じ取ったのは
達也くんのものと思われる温かい唇の感触。
「結婚を前提に付き合って下さい・・・そう伝えても・・・いいのだろうか?」
臨床心理士を目指して一緒に頑張っている達也くんのその呟き。
多分、彼は私の耳には届いていない
そう思っている。
私にとって達也くんは臨床心理を一緒に学ぶ大切な仲間であり、戦友
一緒に学ぶ中で、時にはお互いに厳しい意見を投げかけることもある
でも、それも心理の専門家になるためには必要なやりとりであることも充分わかっている
だから、戦友
そんな彼の口から聞こえてきた結婚というワード
戦友と思っていたから、今でも信じられない
信頼している人だからこそ、彼の想いは嬉しいけれど
信頼している人だからこそ、恋愛というフィルターを通して関わることに戸惑いを覚える
私はもう恋をしてはいけない人間
大切にしてくれていたナオフミさんの手を自ら離してまで
臨床心理の世界に飛び込んだ
だから彼にもう会うことはできない
会う資格もない
だけど彼のことがスキなことはどうしてもやめられない
恋愛というフィルターを通してみる人は
たったひとり
その人・・・ナオフミさんだけを心の中でずっと想い続ける
そう心に誓ったのだから
だからもう恋なんてしない
『ナオフミ・・さん・・・』
熱が上がって朦朧としていた私はとうとう意識を手放した。
ずっと想い続けている人の名をすぐ傍にいる達也くんが聞いていることにも気遣うことができないまま。