じれったい恋愛…~運命の人に気づくまで~
転んで倒れることを想定して、来るであろう痛みや恐怖から目をつぶっていた。
(あぁ、私はこのまま転んで膝や顔を床でぶつけ、ケガするんだろうな。痛いだろうな。床は冷たいかな。来る来る。倒れる…)
自分にはスローモーションで時を感じていた。
そんな一瞬の間に、そんな事を思っていたのだ。
でも、来る来る、と思っていた痛みや冷たさは感じず、その代わり私は、ふんわりと心地よい優しさに包まれている感じがしていた。
(なんて心地いいんだろう。私、転んだはずなのに痛くもない。まさか、天国に来ちゃったの?
それならそれでもいい。
ここに、ずっとこうしていたい…)
そう思っていた。