一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
実花子に気づいた拓海が運転席から降り立った。
その瞬間、彼の周りの空気だけ華やいだように見えたのは幻か。バラでも背負っているのではないかと思うような華麗な姿にドキッとさせられた。
卒のない身のこなしで実花子を助手席へ乗せ、車を発進させた。
男の人の運転する車の助手席ははじめてのうえ、高級車も初体験。当時大学生だった元カレは、車はおろか免許も持っていなかった。当然、デートは公共の乗り物だった。
情けないほどにカチコチになった実花子の体は、シートにすら背中を預けられずに直立。なんとも変な体勢になっているのは自分でもわかるほどだった。
「車の中で筋トレ?」
「はい? ……あ、いえ」
一瞬なんの話かと思ったものの、すぐにそれが静止姿勢だと気づき、ぎこちなく背もたれにもたれる。
拓海はそんな実花子を見てクスッと笑みを漏らした。
「なんか緊張してる?」
「こういう車に乗るのははじめてで」
「へぇ、そうなんだ」