一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~


男の人の運転する車もはじめてなのはひとまず伏せておこう。あまりにも初心すぎる。
振られる前提なのだから格好つける必要はまったくないが、ささやかな実花子のプライドである。


「実花子、そろそろ俺のことも名前で呼んでくれる?」
「いえ、それはちょっと……」


さすがに親会社の社長でもある彼を〝拓海〟と呼ぶのは抵抗がある。それに五歳も年上だ。


「名字に〝さん〟付けは他人行儀で堅苦しい」
「他人ですから」


そこを大幅に間違えてもらっては困る。


「慣れれば平気だろうから」
「慣れません」


拓海という人間は、どうしてこうも強引なのだろうか。言動すべてが半強制。それが柔らかい物腰や穏やかな笑顔に隠されているから恐ろしい。


「ついでに、その敬語もやめようか」
「それこそ無理です」
「会社ではともかく、ふたりのときはそうしよう」
< 102 / 411 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop