一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
実花子が断固として拒否しているにも関わらず、拓海はまったく聞く耳を持たない。「それじゃ、練習してみようか」などと言いはじめた。
恨めしげに横顔を睨んだが、拓海があまりにもうれしそうに笑っているから諫める気持ちがプシューッとつぶされていく。
「拓海って、言ってみてよ」
「急に言われても無理です」
「だから、敬語もナシだって」
そう言われるとしゃべられなくなる。呼び捨ても〝ですます〟抜きも、急にできるものではない。
「実花子?」
信号待ちで止まると、拓海は実花子の顔を覗き込んだ。ドギマギしている場合ではないのに、頭とは裏腹に息が苦しくなるほどの動悸に襲われる。
思わず視線を逸らすと、彼が体を乗り出して両手で実花子の頬を抑え込んだ。そうされ、王子様フェイスから逃れられなくなる。
「ほら、言ってみて」
口調は優しいのに、なぜか断ることのできない強制力を孕んだ視線だ。