一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「ひとつお願いが……」
拓海は目線でなに?というように小首をかしげた。
「言葉づかいだけはもうしばらくこのままにさせてください」
ファーストネーム呼びはなんとかできても、さすがに丁寧口調は崩せない。同じ年齢ならともかく、五歳も年上のうえ勤め先の社長だ。
拓海はしばらく考えるように視線を宙に投げかけたあと、「わかった。自然にそうできるまで待とう」と、ふんわりとした笑みをこぼして納得した。
「ありがとうございます」
お礼を言うのもおかしな気はしたが、要望を汲んでもらえてひとまず安堵である。
「この店は頻繁でもないけど、たまにくるよ」
さすがは何社もの会社を統括するだけはある。料理の名前はチンプンカンプンでも値段だけは読めたのだ。円だから当然と言えば当然だが、その値段が桁違いなのだ。