一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
「ここ数年だよ、こういう場所を使うようになったのは」
「そうなんですね」
「起業当時はこれでも苦労したからね」
それもそうだ。父親の大きな会社を受け継いだわけではない。ゼロから会社を築き上げてきたのだ。
実花子は最近の拓海しか知らないため、不遇の時代の存在自体が最初からないものとして見ていた。
「だから、いまだにちょっと緊張するよ」
決してそうは見えない。余裕綽々。実花子がファミレスで食事をするのと同じような態度だ。
「今、そんなことはあるもんかって顔したな」
「えっ?」
顔に出やすいタイプではないが、今後気をつけよう。そう心に小さく誓ったところでワインが運ばれてきた。
店員が実花子のグラスにだけ赤ワインを注ぐ。
「俺は車だから飲めないけど、実花子は気にせずどうぞ」
「そういうわけにはいきません」