一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
箱の様相からデザートを連想した実花子は思わず聞き返した。フランス料理店なのにカレーとは予想外だ。
「意外に思うかもしれないけど、ランチでカレーを出してるんだ。絶品だから、ぜひ祐介くんにと思って」
こういうシチュエーションで相手の家に待つ家族の存在を考えられる男の人は、いったいどれくらいいるだろうか。
祐介への優しさを見せつけられて、心の内側に意図せず小さな波が立つ。ごく自然でさり気ない気づかいだから余計だ。
両親を亡くして六年。大学時代の彼氏と比べるのは当時の彼には酷かもしれないが、幼い祐介がいるから外泊はできないという実花子に、あからさまに顔をしかめたのを思い出す。当時の彼氏のなかで、祐介はどちらかと言えば邪魔なものとして存在していたのだ。それを拓海が難なく飛び越えてくる。
「ごめん、余計なお世話だったか」
「違うんです」
黙った実花子を心配して拓海がカレーの入ったボックスを引き上げようとしたが、慌てて引き留めた。
「ありがとうございます。きっと祐介も喜ぶと思います」