一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~


実花子にはまだまだ考えられない、遠い遠い未来の話である。でも断るに断れず、仕方なく承諾したものだった。

――というのは実花子の言い訳かもしれない。酔った勢いで安請け合いし、あとで大変な話を引き受けたと気づいたものの、断れない状況になってしまったのだ。

いつもの焼鳥屋で、弁護士の白鳥(しらとり)幸三(こうぞう)と出会ったのは一ヶ月ほど前。五十代も半ばだろうか。その白鳥に突如持ちかけられたお見合い話に、お酒で気の大きくなった実花子はついうなずいてしまったのだ。軽いノリで。

お酒の場での約束なんてないに等しい。社交辞令と同じようなものだろう。
そう高をくくっていたら、後日、白鳥から日程の連絡がきた。

最初は固く断っていたが、彼もなかなか譲らない。一度会うだけでもいいからと半ば丸め込まれる形となった。そもそも弁護士に口で敵うはずがない。

相手の男性についてはなにひとつ聞かされていないが、きっと実際に会えば向こうから断ってくるだろうと軽く考えるしかなかった。
なにしろ容姿にまるで自信はなく、実花子ほどお見合いに不向きな女はいない。ついでに結婚の意思もまったくない。

相手の男性もおそらく、白鳥から言われて仕方なく受けたのだろう。
深く考えると嫌になるため、実花子は気楽にやり過ごそうと決めた。
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